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Genetics / 遺伝学

ブルーベリーの染色体構成を示す前に、その前提となる有性生殖を行う生物の基本パターンを示しておきます。通常の細胞は相同な染色体が対を成す形で偶数個の染色体を持ちます。繁殖時は、母系、父系ともに相同な染色体の一方のみを持つ生殖細胞(染色体の数としては通常細胞の半分を持つ)が作られ、それが結合する形で子の細胞が出来上がります。結果、子には母系の遺伝形質と父系の遺伝形質の両者が受け継がれることになります。

ここで、生殖細胞の持つ a1,b1,c1,d1 という染色体の基本バリエーションの組をゲノムと呼びます。ゲノムにはその種の形質を決める全ての遺伝情報が含まれます。


ブルーベリーの染色体の構成も、有性生殖を行う生物なので基本的には上記と一緒です。基本となる染色体の数(ゲノムを構成する染色体の数)は12となっており、1つの細胞の中には12対=24本の染色体(2つのゲノム)があります。但し、我々に親しみのあるラビットアイ系ブルーベリー、ハイブッシュ系ブルーベリーは、この基本パターンとは若干異なる「倍数体」というものです。「倍数体」とは基本となる染色体12本の組(ゲノム)を、1つの細胞中に3つ以上持つ変異種で、ラビットアイ系ブルーベリーは6つのゲノムを持つ「6倍体」、ハイブッシュ系ブルーベリーは4つのゲノムを持つ「4倍体」となっています。
なお、この「倍数体」というものは、植物の世界ではごく一般的に存在しており、我々が一般的に食べている「男爵」などのジャガイモも細胞中に4つのゲノムを持つ「4倍体」で、他に世界では基本の2倍体ジャガイモ、5倍体、6倍体のジャガイモが存在しているようです。
ブルーベリーの各系統の染色体の構成をまとめると以下のようになっています。

暖地のブルーベリーの仲間(ブルーベリーと交配可能)
Vaccinium darrowi
2n = 24本 2倍体
Lowbush Blueberry の一部種類
Vaccinium vacillans
2n = 24本 2倍体
Lowbush Blueberry
Vaccinium angustifolium
4n = 48本 4倍体
Hybrid Blueberry
(Southern Highbush Bluebeery / Half-High Blueberry)
4n = 48本 4倍体
Highbush Blueberry
Vaccinium corymbosum
4n = 48本 4倍体
Rabbiteye Blueberry
Vaccinium ashei
6n = 72本 6倍体


ブルーベリーと一口に言っても、上記のように系統により染色体の構成が異なり、基本的には同じ系統内での交配はできても、他系統との交配はできるものとできないものがあります。系統間の交配の可否をまとめると以下のようになっています。

2倍体系統 4倍体系統 6倍体系統
暖地のブルーベリーの仲間【2倍体】
Vaccinium darrowi
○:交配可能 ○:交配可能(*1) ○:交配可能(*2)
Lowbush Blueberry の一部種類【2倍体】
Vaccinium vacillans
○:交配可能 ×:交配不可 ?:不明
Lowbush Blueberry【4倍体】
Vaccinium angustifolium
×:交配不可 ○:交配可能 ×:交配不可
Hybrid Blueberry【4倍体】
(Southern Highbush Bluebeery / Half-High Blueberry)
△:一部可能(*1) ○:交配可能 ×:交配不可
Highbush Blueberry【4倍体】
Vaccinium corymbosum
△:一部可能(*1) ○:交配可能 ×:交配不可
Rabbiteye Blueberry【6倍体】
Vaccinium ashei
△:一部可能(*2) ×:交配不可 ○:交配可能

*1) 2倍体である暖地のブルーベリーの仲間(Vaccinium darrowi)は、冒頭で示した基本のパターンに則ると、1つのゲノム(12本の染色体)を持つ生殖細胞を作るのですが、かなりの確率で2つのゲノム(12x2=24本の染色体)を持つ生殖細胞を作ることがあるようです。それにより、4倍体の系統との交配が可能になっているようです。つまり、Vaccinium darrowiが作り出す2つのゲノムを持つ生殖細胞と4倍体の系統が作り出す2つのゲノムを持つ生殖細胞が合わさることで4倍体の子孫を残すことができるようです。

*2) 2倍体である暖地のブルーベリーの仲間(Vaccinium darrowi)が通常作り出す1つのゲノムを持つ生殖細胞と6倍体であるラビットアイ系(Vaccinium ashei)が作り出す3つのゲノムを持つ生殖細胞が合わさることで4倍体の子孫を残すことができるようです。


最後に上記の染色体構成を踏まえて栽培品種の各系統の成り立ちを確認すると次のとおりです。同じ倍数体どうしの交配で成立している品種は、特に不思議はありませんが、Hybrid Blueberryの中のSouthern Highbush Blueberryのように本来は交配不可と思える系統間で交配がされているものについては興味深いものがあります。

Rabbiteye Blueberry【6倍体】(Vaccinium ashei)
野性のラビットアイ・ブルーベリー【6倍体】から優良なものを選抜、また、それらを交配して作出されたもの。

Highbush Blueberry【4倍体】(Vaccinium corymbosum)
野性のハイブッシュ・ブルーベリー【4倍体】から優良なものを選抜、また、それらを交配して作出されたもの。

Hybrid Blueberryの中のHalf-High Blueberry【4倍体】
野性のローブッシュ・ブルーベリー【4倍体】とハイブッシュ・ブルーベリー【4倍体】を交配して作出されたもの。

Hybrid Blueberryの中のSouthern Highbush Blueberry 【4倍体】
この系統はハイブッシュ系を暖地に適応させるべく改良されたもので、成り立ちには主に以下の2通りがあります。
一つは、暖地のブルーベリーの仲間【2倍体】(Vaccinium darrowi)とハイブッシュ・ブルーベリー【4倍体】を交配して作出されたもの。この交配は前項(*1)の方法で可能となっています。
もう一つは、暖地のブルーベリーの仲間【2倍体】(Vaccinium darrowi)と ラビットアイ・ブルーベリー【6倍体】を交配し4倍体の個体を得て(前項(*2)の方法)、それをハイブッシュ・ブルーベリー【4倍体】とさらに交配して作出されたもの。